情報セキュリティの重要性が高まる中,従来の認証方法には初回認証後のセキュリティ維持等の課題が存在する.デバイスを頻繁にロックさせることによりセキュリティを強化することはできるが,一方で定期的な再認証要求はユーザビリティを著しく低下させる.このジレンマを解決するため,継続的かつ暗黙的な認証方法の開発が求められる.本研究では,この課題に対応するため,継続的かつ暗黙的な認証方法の開発を目的とする.予備調査として,注視点に基づく個人識別の可能性を探求するため,公開データセットであるUEyesから10名の実験参加者を抽出し,15枚の画像に対する視線ヒートマップを比較分析した.実験参加者間の視線パターンを分析した結果,個人間の眼球運動に同程度の差異が存在することが示された.この結果は,眼球運動特性を利用した個人識別が可能であることを示唆している.今後の研究では,個人の視線に特化した顕著性マップの開発など,より高度な個人識別手法の開発を目指す.本研究は,ユーザのセキュリティとユーザビリティを両立させるために,眼球運動に着目した新たな認証方法の基礎となる可能性を示す.